顔面神経麻痺(ベル麻痺・ハント症候群)について
顔面神経麻痺とは、突然に発症する表情筋の麻痺で、閉眼不能や摂食困難といった日常生活のほか、美容においても支障になっています。
顔面神経麻痺は、障害部位において2つに分類されています。中枢性のものと末梢性のものです。中枢性は脳の障害や髄膜炎により起こるものがほとんどですが、末梢性の70%はベル麻痺で、次いでハント症候群が10~15%を占めます。
中枢性の顔面麻痺の症状として、顔の上部の表情筋はほとんど障害されませんが、下半分の表情筋や頸部の筋は障害がでます。脳血管障害や脳腫瘍、髄膜炎等が関与しており、顔面神経麻痺だけではなく、構音障害(うまく話せないこと)や片麻痺、動眼神経麻痺(物が二重に見えたりする)を併発する場合が多いです。
ベル麻痺は、ウィルスにより急性に発症する一側性の全表情筋麻痺です、中枢神経の障害や耳疾患による症状がなく、明らかな原因がないものになります。関与が考えられるウィルスとして、水痘帯状疱疹ウィルス、サイトメガロウィルス、EBウィルス、アデノウィルス、インフルエンザウィルスと様々いますが、確実に関与しているのは単純ヘルペスウィルスです。症状としては、額のしわの消失、閉眼不全、鼻唇溝消失、口角下垂等です。
ハント症候群は、水痘帯状疱疹ウィルスが原因とされています。乳幼児期から学童期に初感染することが多く、飛沫(つばや唾液等)感染します。感染後、顔面神経に潜んでいます。そして、ウィルスが再活性することにより、顔面神経麻痺が発症します。症状としては、耳や耳周囲の帯状疱疹、末梢神経顔面麻痺、耳鳴り・難聴・めまいの3徴候です。
鍼灸での治療法
一般的な治療において、大きく保存療法と外科療法に分類されます。
保存療法
・薬物療法(ステロイドや抗ウィルス薬)
・星状神経節ブロック
・理学療法
・鍼灸
外科療法
・顔面神経に対し手術
鍼灸では、これまでに数々の治効例が報告されています。
顔面神経の走行に対し、鍼を刺していきます。その結果、血管拡張、血流改善に加え神経機能を興奮させ、麻痺を改善させていきます。